
アクアリウムの水質チェックと調整方法
9分
ブラックウォーターってよく聞くけど、水槽の水を茶色くするだけ?
ブラックウォーターはアマゾン川原産の熱帯魚達にとっては自然の環境ですが、色だけの問題ではなく、弱酸性の水なんです。
この記事ではブラックウォーターの作り方やデメリット、さらに茶色い水の正体や役割についてもご紹介します。
もちろんブラックウォーターのメリットや向いている熱帯魚もご紹介しますよ。
どうぞ、ご覧ください。
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ブラックウォーターは黒というよりは茶色い水です。
アクアリウムではこの茶色い水、ブラックウォーターで熱帯魚を飼育したりします。
なんでわざわざそんな濁ったような茶色い水を作るの?と思いますよね。
実は熱帯魚の故郷の1つでもあるアマゾン川などは、黒や茶色の水が自然界に当たり前のように存在しているです。
つまり熱帯魚達にとっては、透明の水よりブラックウォーターの方が本来の環境だったりする訳です。
本来の環境の『ブラックウォーター』ですが、実施に汲んでくるというのは、ちょっと無理がありますよね。
その為、水槽の場合は人工的に作り出さなければいけません。
アクアリウムショップに行けば、ブラックウォーターを作る為の商品がいくつか販売されています。
ブラックウォーターを作る方法はいくつかあるのですが、ここでは4つご紹介します。
これが一番簡単で早いと思います。
テトラさんから販売されている『ブラックウォーター』を規定量水槽の中に添加するだけです。
流木を沈めるのも1つの手です。
レイアウトとして使用する流木は沈めると数日で水が茶色くなります。
基本的に流木はアク抜きという作業をしてから使うのですが、そのまま使うとタンニンがにじみ出るので水が茶色になります。
これは大きな葉っぱです。
ブラックウォーターを作る為に使われるもので、水槽に沈めておくだけでブラックウォーターが出来ます。
これはマツボックリみたいな感じの実です。
使い方はマジックリーフと同じで、沈めておくだけです。
他の方法として、紅茶を使ってブラックウォーターを作る方もおられるそうです。
コストを抑えたい場合はこの方法もありなのですが、あまりおすすめしません。
確かに紅茶からもタンニンを含んだ茶色い水を作る事は可能です。
しかし、紅茶に含まれるカフェインはリスクがあり、卵の孵化を阻害する働きがありますので、注意が必要です。
ブラックウォーターを扱う場合は、いくつか注意点があります。
5つご紹介しますが、水槽の水をブラックウォーターにする場合は、この点を必ず頭に入れておいてください。
全ての魚にブラックウォーターが良いという訳ではありません。
合わない熱帯魚にとっては最悪な環境と言っても良いです。
特に弱アルカリ性の水質を好む熱帯魚の飼育は出来ないと考えてください。
吸着ろ過に使われる活性炭などは、水を茶色くする成分を吸着します。
いくら頑張ってブラックウォーターを作っても、その成分が吸着されてしまっては意味がありません。
その為、活性炭などを入れていると、ブラックウォーターは作れません。
実はブラックウォーターには抗菌・殺菌効果があります。
その為、アクアリウムで大切なろ過バクテリアも細菌の一種なので、ろ過能力が下がります。
ろ過効果が全くなくなるというわけではありませんが、水槽立ち上げからブラックウォーターにするのは、やめた方が良いでしょう。
ブラックウォーターは水が茶色ので、日光やライトなどの光を通しにくい環境になります。
水草は植物なので光合成を行わないと育ちません。
光合成をするのには、当然ですが光は必要です。
光を通しにくい環境は光合成を阻害してしまう事になる為、水草の成長は鈍くなります。
ブラックウォーターには水中のミネラル成分と結びつく為、カルシウムやマグネシウムの濃度が低下します。
エビや貝類の殻を形成するのに必要なカルシウムなどが不足するので、育ちにくくなります。
ビーシュリンプなどのエビをメインに飼育する場合は、ブラックウォーターにしない方が良いです。
それではブラックウォーターとは、具体的にどんな水の事を言うのでしょうか?
そもそもアマゾン川など水ははなぜ茶色い色や黒をしているのでしょうか?
あの色の原因は川の周りに生息している木や枯れ葉などなんです。
木や枯れ葉からタンニンを含むフミン酸やフルボ酸といった成分が水に溶け出し水を茶色や黒にしています。
水槽のレイアウトとして流木を使用した時、水が茶色く濁ってしまったという経験をお持ちの方もおられると思います。
実はあれもタンニンという物質が溶け出す事によって色がついているんです。
ブラックウォーターにはもう一つ特徴が、弱酸性の水という事です。
フミン酸やフルボ酸は酸性の物質なので、ph的に弱酸性の水です。
まとめるとブラックウォーターはフミン酸やフルボ酸の溶け込んだ茶色い弱酸性の水という事になります。
ブラックウォーターで熱帯魚を育てるとどんな良い事があるのでしょうか?
故郷がアマゾン川の熱帯魚はたくさんいます。
ブラックウォーターは多くの熱帯魚達にとって故郷の自然の環境なのです。
つまり、最高の環境という事なんです。
ブラックウォーターにはフルボ酸が含まれています。
このフルボ酸には殺菌作用があり、水中の殺菌や消毒が出来ると言われています。
その為、魚の病気や感染症などリスクを下げるとともに、治癒力を高めてくれるんです。
アクアリウムショップでは調子の悪い魚をブラックウォーターで飼育して回復させる事もあります。
熱帯魚の中にはブラックウォーターで飼育する事で、発色が良くなる熱帯魚がいます。
熱帯魚は生き物です。
本来棲んでいる環境に近い環境で飼育されると、当然ですが魚も調子が良くなります。
これは魚にもよりますが、良い環境で飼い込むと発色が良くなる熱帯魚は意外と多いです。
色揚げを考えるのであれば、ブラックウォーターで飼育するというもの1つの手です。
熱帯魚達は本来の環境に近い環境だと安心します。
その為、本来ブラックウォーターの環境に生息している熱帯魚はブラックウォータで飼育すると安心し、繁殖行動が促される効果あります。
そうすると繁殖の成功率も高くなってきます。
それではブラックウォーターに向いている生体を見ていきましょう。
ネオンテトラやカージナルテトラなどのテトラ類はブラックウォーターが得意な生体としても有名です。
これはテトラ類はそもそもブラックウォーターの環境で暮らしている熱帯魚なので、不利に働く事はありません。
さらに、繁殖もこのブラックウォーターが大きく関係しているとも言われています。
もちろん他にもブラックウォーターが向いている熱帯魚はたくさんいます。
自然界でこのブラックウォーターが見られるのは、南米のアマゾン川やネグロ川、チェコのモラヴァ川、オリノコ川、インドネシアのカリマンタン島の湖や河川などが有名です。
いかがでしたか?
今回はブラックウォーターについてご紹介しました。
ブラックウォーターは弱酸性の茶色い水の事で、熱帯魚達にとっては故郷の環境に近い最高の環境だったりします。
しかし、全ての熱帯魚が向いている訳ではありません。
向かない熱帯魚だっていますし、デメリットや注意点もあります。
ブラックウォーターの場合は活性炭は使わないようにしてください。
せっかく作ったブラックウォーターがあっという間に透明の水になってしまいます。
デメリットだけでなく、病気の予防や繁殖の促進、さらに色揚げなどのメリットもあるので、一度試してみても良いかもしれませんね。