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【熱帯魚の不調に!?】塩浴のやり方と期間・戻し方

8分

塩浴は魚の調子を整える方法として古くから使われてきました。

その方法はとても簡単で水槽に塩を入れるだけなんです。

でも、熱帯魚って基本的に淡水魚だよね?

そんなことして大丈夫?

この記事では熱帯魚の塩浴のやり方と期間・戻し方など詳しくご紹介します。

塩浴のやり方は簡単で飼育水に水を入れるだけ、期間は1週間以上で戻す時はゆっくり塩を抜く事が大切です。

塩浴は簡単な方法ですが、やり方を間違えると取り返しのつかない事になってしまうので、注意が必要です。

それでは、いってみましょう。

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そもそも淡水魚に塩って大丈夫?

そもそも淡水魚に塩って大丈夫?

熱帯魚とは一般的に淡水魚の事を言います。

「淡水魚なのに塩なんか入れて泳がせたら死んでしまうんじゃない?」と思われる方もおられるのではないでしょうか?

実は生物の体内には塩分が含まれていて、もちろん淡水魚の体内にも塩分が含まれています。

熱帯魚の体内の塩分濃度はおおよそ0.6〜0.9%と言われています。

つまり、淡水魚とはいえ、ある程度の塩を入れても大丈夫なんです。

通常熱帯魚を飼育する水には塩分は含まれていない為、体の内側と外側で浸透圧の差が生まれます。

熱帯魚達はその浸透圧の差を自分で体内の塩分濃度を調節して生活しているんです。

塩を入れるのは抵抗がある方もいるかも知れませんが、実は水族館や養殖場などでも塩浴は使われていたりします。

でも、熱帯魚って基本的に淡水魚だよね?

塩浴で病気は治るの?

塩浴で病気は治るの?

結論から言うと塩浴に病気を直す効果は基本的にありません

ただ、全く効果がない訳ではなく、コショウ病にはよく効きますし、白点病にもある程度の効果はあります。

カリムナリス病やエロモナス病といった細菌感染症にはあまり効果が無いです。

病気を治す効果が無いのになぜ病気の治療に使われるのか不思議ですよね?

塩浴の目的は熱帯魚自身が持っている自然治癒力を後押ししてあげる事で病気の治りを良くする為

つまり、塩浴は病気を治すのが目的ではなく、熱帯魚の病気を治す力を助けるのが狙いなんです。

病気の魚に「病気が治りますように」って応援してあげるんだね!!

塩浴前の準備

塩浴をする場合はいくつか注意点があります。

やり方を間違えると逆効果になってしまいますので、塩浴をする前に頭に入れておきましょう。

どんな塩を使えばいいの?

塩浴をする場合、使う塩は食塩です。

購入する際はちゃんと原材料を見て、食塩(塩化ナトリウム)だけのものにしてください。

料理の得意な方はご存知かもしれませんが、市販されている塩の中には化学調味料やアミノ酸などの添加物が混ざっているものも多いです。

間違った塩を投入したら逆効果になります。

人工海水用の塩なども売られていますが、これも実は純度が低く、違うものが含まれていますので、あまりおすすめ出来ません。

一応魚用の塩も売られているので、不安な方は専用の塩を使うのも良いでしょう。

塩の量の計算

塩浴を行う場合、基本的に塩分の濃度は0.5%と考えてください。

塩分濃度0.5%とは1リットルの水に5gの塩が溶け込んでいる状態です。

濃度0.5%の塩の量を自動計算してくれるプログラムを作ってみたので、利用してみてください。

思っているよりも塩の量が多いと思いますので、最初はビックリするかもしれませんね。

※JavaScriptを使用していますので、JavaScriptをオンにしておいてください。

水槽の大きさで計算

高さは水槽の高さではなく、水槽の下から水面までで入力してください。

ガラス厚6mmで計算しています。

塩の量の計算
幅 cm
奥行cm
高さcm

※半角で数字を入力してください。

水量は約リットルなので、
gの塩が必要です。

水量で計算

水量がわかっている場合は水量を入力してください。

水量 リットル

※半角で数字を入力してください。

gの塩が必要です。

その他の注意点

水草にとって塩は天敵です。

塩浴をする場合は、必ず水草を取り除いてください

全ての生体が塩浴が出来る訳ではありません

エビ類は基本的に水質変化に敏感な生物なので、塩浴は行わない方が良いと多います。

塩浴のやり方

塩浴のやり方

塩浴のやり方はとても簡単で水槽の水に塩を溶かすだけです。

直接塩を水槽に入れるパターンと飼育水をバケツや別水槽に移して行うパターンがあります。

基本的に水槽に直接入れるパターンが多いです。

塩浴はエアレーションをしながら行うようにしてください。

塩浴を行う際は塩を気に入れてはいけません

一気に入れてしまうと水槽内の塩分濃度が一気に上がってしまい、その変化に熱帯魚達はついていけません。

その為、何日かに分けて少しずつ塩を入れて濃度を0.5%まであげるようにしてください。

ちょっとずつちょっとずつ塩分濃度をあげていくんだね!!

塩浴の期間はどれくらい?

塩浴の期間ですが、魚達に何の悪影響も無いので、特にいつまでというのはありません。

基本的には1週間以上で魚が元気になったら止めるという感じで良いです。

もし、熱帯魚のみで飼育している場合は常時塩浴というのも一つの手です。

塩浴中は最低でも1~2日に1回のペースで水換えを行ってください

塩水は傷みやすくバクテリアの働きも弱いので、水質が悪化しやすいです。

その為頻繁に水換えをする必要があるのですが、弱った魚には負担になる可能性があります。

様子を見ながら、水換えを行いましょう。

気を付けてほしいのが、水換えによる塩分濃度が変化です。

水換えをする場合は、バケツなどに塩を入れて0.5%を作って入れるようにすると塩分濃度の変化が小さくなります。

塩浴からの戻し方

塩浴からの戻し方

魚が元気になったからといって、いきなり淡水に戻すのは止めましょう

塩浴から淡水に戻す為には『塩を抜く』という作業が必要になってきます。

塩浴している状態というのは、浸透圧の調節をあまりしなくても良いので、熱帯魚達にとってはとても楽な状態です。

それをいきなり淡水に戻すというのは急激に負担がかかります。

塩を抜くといっても、方法は簡単で水換えをするだけです。

水換えの際に塩分の入っていない水を戻す事で、少しずつ塩分濃度を下げていき、最終的に0%の淡水に戻すようにしましょう。

戻す時もちょっとずつ、ちょっとずつだね!!

塩浴の効果・メリット

古くから熱帯魚の病気の治療などでよく行われる塩浴ですが、実際にどんな効果・メリットがあるのか詳しくご紹介します。

浸透圧の調整

先程もご紹介したように、熱帯魚は体の内側と外側で浸透圧の差を自分の体内で調節して生活しています。

普通は何も問題がないのですが、けがや病気で体調を崩している熱帯魚にとってはとても負担がかかるんです。

飼育水の塩分濃度を熱帯魚の体の塩分濃度に近づけて体への負担の少なくし、自然治癒力を後押ししてあげるのが塩浴の目的です。

殺菌効果

殺菌というとちょっと違うのですが、それに近い働きがあります。

これも浸透圧が関係してくるのですが、例えば野菜に塩をふって揉むと水分がぬけてフニャフニャになりますよね。

これは塩の脱水作用を利用したものです。

病原菌や寄生虫の細胞の塩分濃度は、熱帯魚の体内の塩分濃度より低いんです。

塩浴する事で熱帯魚にとっては快適でも病原菌や寄生虫にとっては塩分濃度が高すぎるんです。

浸透圧の力を使って病原菌や寄生虫から水分を奪って、死滅させてしまう事も狙えますが、そこまで大きな効果がある訳ではありません。

粘膜再生効果

塩には新陳代謝を高め、傷の回復を早めたり、粘膜を再生を助ける効果があるとされています。

粘膜の再生を助ける事で、熱帯魚の体の保護能力を高め、病原菌や寄生虫から身を守る事が出来るんです。

塩浴のデメリット

塩浴のデメリット

塩浴はいい事ばかりではありません。

デメリットもありますので、しっかり頭に入れておいてください。

水草が枯れる

水草は基本的に塩分に弱いです。

その為、水草水槽を塩浴してしまうと水草が枯れてしまいます。

水草を育成している場合は塩浴は出来ないと考えてください。

全ての生体に使える訳ではない

水草だけではなく、アクアリウムの生き物の中には塩分に弱い生き物もいます。

エビ類が代表的です。

エビ類は水質や水温の変化にとても敏感で、塩浴すると最悪死んでしまいます。

塩分濃度が高いと逆効果

熱帯魚などの生物の体内にも塩分が存在します。

飼育水の塩分濃度が熱帯魚の体内の塩分濃度よりも高くなりすぎると、熱帯魚達の体への負担が大きくなるので逆効果です。

0.8%を超えると熱帯魚は脱水症状を起こしてしまい、とても危険です。

塩分濃度が高く過ぎると致命的なダメージを与えてしまい、最悪死んでしまう場合もあります。

塩浴するとバクテリアは死滅するの?

結論から言うと、ほとんどのバクテリアにあまり影響はありません

これはいろいろな説があるのですが、バクテリア全てが死滅するのではなく、活動が鈍くなったり、死滅してしまうバクテリアもいるという程度です。

死滅しなくても、活動は鈍るので、若干ろ過効果は低くなります。

ろ過効果が低くなるという事は、それだけ水が汚れやすくなるので、水換えはこまめにするようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?

基本的に塩浴は熱帯魚達の自然治癒力を後押しする為のもので、病気の特効薬にはなりません。

塩浴は飼育水に塩を入れるだけです。

塩浴を行う期間は1週間以上で戻す時は塩を抜くという作業が必要になります。

塩浴はとても簡単に出来る方法ではありますが、やり方を間違えるととても危険です。

デメリットもきちんと理解した上で行うようにしましょう。

塩を入れる時はもちろんですが、その後も水槽内の塩分濃度が高くなりすぎてしまう事の無いように、十分に気を付けてください。

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